コムスンの事業所指定打ち切り 厚労省、虚偽申請で
2007年6月6日 夕刊
訪問介護最大手の「コムスン」(東京都港区、樋口公一社長)が虚偽の申請で事業所指定を不正に取得していたとして、厚生労働省は六日、介護保険法に基づき、全国にある同社の介護事業所の八割に当たる約千六百カ所について来年四月から二〇一一年度までの間に順次、指定を打ち切り、新たな事業所の指定もしないよう、都道府県に通知した。
これを受け指定の権限がある都道府県から打ち切り処分を受けた事業所は介護保険サービスの提供ができなくなる。約六万人の利用者がいるとみられ、厚労省は利用者が不利益を受けないよう、他社を紹介するなどの対応策を自治体に徹底する。指定打ち切りとなるのは訪問介護、通所介護など基幹となる事業所で、同社の経営にも大きな影響を与えそうだ。
コムスン広報室は「現在事実関係を確認中で、本日午後以降にコメントを出す」と話している。
コムスンをめぐっては、これまでも東京都などが指定を取り消そうとしたが、直前にコムスンが事業所の廃止届を出し、処分を免れる経緯があった。厚労省はこうした行為が悪質な処分逃れに当たると判断。
同じ業者が複数の事業所を経営している場合、不正行為から五年間、系列のほかの事業所でも新規の指定や指定の更新を認めない「連座制」を適用する。全国に事業展開している業者への適用は初めて。
具体的には、青森県弘前市の「コムスン弘前城東ケアセンター」が〇六年七月に指定を受けた際、雇用実態のないヘルパーを職員数に含めて申請していたケースや兵庫県のケースなどが不正行為であると判断した。
介護事業所の指定は六年ごとの更新制で、コムスンの事業所は〇八年度中に六百五十七カ所で指定の有効期限が切れ、介護保険サービスができなくなる。さらに〇九年度から一一年度にかけても毎年度、三百カ所前後で指定が切れ、計千六百五十五カ所が営業できなくなる見通しだ。
コムスンは一九八八年設立。訪問介護や有料老人ホームなど全国で計二千八十一事業所(五月末現在)を経営。このうち四百二十六カ所は今回の処分の対象とはならない。
◆愛知県指定、87カ所
東海三県にも、コムスンの事業所が百カ所以上ある。
愛知県にあるのは、県指定の訪問介護事業所が五十五、居宅介護支援事業所が二十一、通所介護事業所が四、訪問入浴事業所が三など計八十七カ所。このほか市町村指定のグループホームなどもある。県高齢福祉課が厚労省通知への対応を検討している。
三重県では、半年前からコムスンの訪問介護事業所四カ所で、職員が届け出よりも少ない人員基準違反のまま運営をしていたことが県の監査で明らかになった。監査の当日や翌日、この四カ所からそれぞれ廃止届が出されたという。現在は事業所五カ所がある。
岐阜県には、訪問介護の事業所が九カ所ある。このうち〇八年度末までに三カ所で指定の有効期限が切れる。現在、国の指導に従って、不正がないか監査中という。
【コムスン】 人材派遣などを手掛ける東京証券取引所一部上場の「グッドウィル・グループ」(折口雅博会長)の中核企業。本社所在地は東京の六本木ヒルズで、従業員は約2万4000人。同グループの事業報告書によると、2002年6月期に約150億円だったコムスンの年間売上高は06年には4倍以上の約639億円に増加。事業所もここ数年で急速に増やし、事業規模は業界トップ。ただ、00年の介護保険導入直後には、利用者を計画通りに確保できず、混乱もあった。
ついに介護業界最大手のコムスンが営業継続が困難になってしまいました。
随分以前から営業停止になるのではないのかという話は出てはいましたが、指定取り消しまでの処分はあまり行われてはきていなかったため、本当に取り消し処分が関係会社全てに降りかかってくるとは思っていなかったのでしょうね。コムスンの代表さんは。
うちの事業所に早速コムスン利用者から受け入れは可能かと問い合わせの電話がありました。今までヘルパーや訪問看護師の助けを必要としていた利用者にとって、無ければ在宅介護なんてつづけていく事は大変な話です。ただでさえ療養病棟が縮小され、介護度が高い高齢者などは自宅に投げ出されています。医療保険が見放した患者を介護保険制度や障害者自立支援法が何とかフォローに入っています。それなのに介護業界はわけのわからない資格を次々と作られ、監査に通すための膨大な書類と判子の山を築かなければなりません。純粋に介護を行う時間は削り取られている状況です。
コムスンの利用者さんをフォローできる体力は、介護業界全体から見てもとても残ってはいません。
勿論不正受給をしていたコムスンがいけません。
しかし、不正受給をせざる終えない状況に追いやった厚生労働省がそもそもの原因の根本だと考えます。