新井素子さんの作品のこのハッピー・バースデー。今頃読みました。私は新井さんの作品で育ったさいか、彼女の文章がとても読みやすく、心地よく感じ取れます。他の作家さんの作品はたいてい「キャラクターが好き」とか「その世界の考え方が好き」と作品世界が好きな場合が多いのですが、独特な文法の彼女の世界がとても気持ちがよいのです。風景の描写などが、等身大な主人公の主観で描かれているため入りやすい。

この作品の主人公の一人は30歳の女性。
この主人公がとても屈折した思考回路の持ち主で、周りの人物がそれを軌道修正を試みているが空振りで終わってしまっている。しかし旦那さんをとても信頼している。信頼だけではなくなっているほどに。
もう一人の主人公は19歳の浪人生。神童とも呼ばれて地元ではちやほや、母親には溺愛されてたが、それを受け止めて育った少年。でも浪人して初めての挫折とほころびが見え出してきた所。

この二人がもう少しまともな精神状態な時に出会えてれば、恐ろしい誕生日を迎えなくても済んだかもしれない。
この二人が最悪な状態で出会ったからこそ、誕生日のその後を過ごせるのかもしれない。
最悪な状態とまともな状態。それは些細なことで入れ替わる。そんなあやふやな状態で人生は変わっていく。そして運命も。

二人の主観がそれぞれ語ると言う新井さん特有な語り進行で進むこの作品。人間の思考回路というものが一つではないと語っている。つい面白くって一日というか一晩で読了しちゃいました。

不二家の経営陣は腐ってますが、私もつくづく腐ってるとへこんでます。

コンビニに行ったら合格祈願シリーズのお菓子ものが置いてありました。
ハイレルモン(入れるもん)、カール合格祈願○○味(忘れた)、オーザック試験受バーベキュー味、ポテトチップス合格うす塩味、キットカット桜咲く味などなど。
お菓子屋さんも大変だなー、ポテチコンソメ味で(デスノの月も受験勉強時の愛用した！)とかして、パッケージに月のイラストでも載せれば買うのになーと思いながら眺めていた時気がつきました。

私は何も怪しまず(オーザックしけんうけバーベキュー味)と読んでましたが、パッケージをよくよく見たら(オーザックしけんうかるバーベキュー味)とあるじゃないですか。
え。うかるなの?うけじゃないの？
…………。
そうだよな。考えてみれば落ちるの反対は受かるだ。攻めの反対の受けではないわね。

自分が余りにもいたたまれなくなったので連れに「これ、受けバーベキュー味って読んじゃった〜」と白状したら「じゃぁ、攻めバーベキュー味ってどんなんだよw」との返事が。
おお、私は攻めはうす塩味だと思ってた(苦笑)。